「食料の乏しい時代に、限られた島野菜と限られた調味料のなかで工夫して調理をする、沖縄のおばぁの“てぃあんだー”には、かないません。」
“てぃあんだー”とは、“手間ひまをかける”や“知恵”などを包括する沖縄の言葉。
そう語る熊谷さんご夫妻は、2008年に千葉県から沖縄へ移住し、2012年4月に「カフェこくう」をOPENしました。
Vol.4


おばぁの“てぃあんだー”を参考に、
島野菜の良さを引き出す『カフェこくう』
「エリアにこだわらず、県内各地に足を運んで探しました。」
移住して当初は、那覇に住まいを構えて和食料理店に勤務していたのですが、その当時から、県内各地の土地を探しながら、いずれその土地で独立しカフェを営むことを考えていたといいます。
各地を探し回り、カフェと住居をかまえる地として選んだのが、今帰仁村の諸志という地域。
諸志といっても、バス通りなどがある集落を離れた、山をうんと登ったところにあります。

インターネットマップなどでもポイントをささない、この場所を選んだ理由は、田舎に住みたかったことと、子育ての地としての環境を考えたから。
そして、なんと言ってもこのロケーションが、熊谷さんの背中を押してくれたのだそうです。

「設計は、計画から移り住むまでに約3年かかりました。自分たちのペースに歩幅をあわせてくれた設計士の下地さんとのやり取りがしっくりときました。また、予算の心配もありましたが、施工を担当する工務店さんのご協力もあって、木枠の窓や赤瓦など本格的な沖縄の木造建築にこだわり仕上げることができました。」
熊谷さんは、店内を見渡しながら、3年間の思い出を語るように話します。


「沖縄の魅力が全て集結したような、ひとつの景色として見ることが出来るのが良いよねって、来てくれるお客様が言ってくれるんですよ。」
カフェの外から眺める景色は、リーフでグラデーションとなって波しぶきを立てる海と、森林の深い緑、そして、木造建築と赤瓦が沖縄の原風景を彷彿させ、カメラの構図のように良い具合におさまります。

熊谷さんご夫妻が提供する食事は、島野菜を中心に調理したもの。
野菜が島に不足する夏場以外は、今帰仁の食材を多く活用するそうで、村内の信頼のおける農家さんとも繋がりを築いています。
「地域のおばぁさんから教えてもらう“てぃーあんだー”の調理法は勉強になります。昔からある調味料で本当においしく作るんですよね。僕たちもそれを見習い、アレンジは加えていますが、シンプルな調味料で料理をしています。お客様が自身で参考にできるように、肩肘はらない料理を心がけ、難しい調理法は使用しないようにしています。」

丁寧につくられた料理を彩る器や小鉢は、県内で活躍される14人の作家さんたちの作品。
カウンターの上には、やちむん(焼き物)の器や茶碗、湯のみなどが並びます。

「気に入った器を見つけると、作家さんを探し工房にまで行きます。ついついまとめ買いしてしまうもんですから、家にもいっぱいあるんです。」
和食料理をずっと業にしていた熊谷さんらしい器へのこだわりで、「野菜をおいしく食べてほしい」との思いと、遠方まで足を運んでくれたお客様への心遣いを感じさせてくれます。


「最近は外国人観光客も来るんですよ。ナビには表示されないと思うんですが調べていらっしゃるんです。」
観光の冊子を片手に、県内各地のカフェ巡りなどをしており、お店の記事のところにサインを求められるそうで、その体験を楽しそうに話してくれました。
県内の方や県外、海外の方など、様々なお客様が足を運んで食事をしてもらうことで、嗜好などの新たな発見があり、料理への好奇心はまだまだ尽きないようです。

木のぬくもりを感じ、田舎を体感しながら、
“てぃあんだー”を追求する『カフェこくう』で、「野菜をおいしく食べる」をシンプルに楽しんでみませんか。
森にススキが生い茂る、この時期の風景もまた素敵です。
※カフェこくうさんは、クロポン(クロトンクーポン)が利用できる店舗となります。



「野菜をおいしく食べてほしい、シンプルにそれだけなんです。」
各地を巡り、行き着いた場所がここ